拡大肺静脈隔離アブレーションだけで心房細動は治るのか?
Haissaguerre先生が、1998年に発表した論文では、発作性心房細動を起こす異常電気信号の発生部位の94%は肺静脈であるとされています。
しかしながら、その 後の多くの検討では、図10に示すとおり約70%の患者様は肺静脈周囲のみであり、残りの約30%の患者様は肺静脈以外の心房筋から発生する異常電気信号を持っているとされています。確かに肺静脈周囲からしか異常電気信号が出ない患者様の場合は良いのですが、肺静脈周囲以外の心房筋から出現する異常電気信号を持っている患者様の場合、肺静脈周囲だけのアブレーションでは治らないのです。
さらに、心房細動が止まらない持続性心房細動を有する患者様の場合、肺静脈以外 の異常電気信号を有する患者様が増加してくるため、心房細動が持続すればするほどアブレーションの成績が悪くなるのです。
図10 心房細動を起こす異常電気信号発生部位の分布
- 第1章心臓の構造と働き
- 第2章どのように心臓から血液を送り出しているのか?
- 第3章心房細動は、どのようにして発生するのか?
- 第4章心房細動が発生するとどのような症状が出るのか?
- 第5章カテーテルアブレーション(カテーテル心筋焼灼術)とはどのように行うのか?
- 第6章心房細動に対するカテーテルアブレーションの変遷
- 第7章拡大肺静脈隔離アブレーションだけで心房細動は治るのか?
- 第8章肺静脈以外の心房筋からの異常電気信号を有する患者様のアブレーションは?
- 第9章心房細動アブレーション後に再発する患者様がいる理由と再アブレーション法
- 第10章持続性あるいは慢性心房細動に対するアブレーションの困難性
- 第11章心房細動アブレーションは、一生、心房細動の発生を抑えることができるのか?
国家公務員共済組合連合会