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心房細動は、どのようにして発生するのか?

心房細動の発生機序を理解する上で、まず、期外収縮という不整脈を理解すること が必要です。

前頁で説明した通り、心臓は洞結節から一定の間隔で電気信号が発信され、それが 心臓の筋肉に均等に伝わることにより収縮しています。

 

洞結節から一定の間隔で電気信号が発信される合間に、洞結節と違う場所の心房筋から電気信号が発信された場合、その電気信号が心房筋全体に伝わり心房が通常より早めに収縮することになります。これを(上室性)期外収縮といいます。これが単発であれば、1回の期外収縮で終了し、正常な脈に戻るため、通常、治療の対象になりません。しかしながら、電気信号が図(左下)のように早い間隔で連続的に数発発信されると、図(右下)のように心房の筋肉内で3つから4つの電気信号の渦が発生し、これが心房筋内でさまよう様に移動し持続した状態になります。これが心房細動です。

 

電気信号は筋肉を収縮させるわけですから、心房細動のような状態になると、心房の筋肉は、あちらこちらで秩序のない収縮が起こるため、心房は細かく動き、震えたようになるのです。その収縮の数は、1分間に350~500回にもなります。そのため、心房内に血液の淀みが生じる可能性が高くなり、もし淀みから血液の塊(血栓)ができ、もしそれが流れて行ってしまうと、種々の血管に詰まることになります。特に頭の血管に詰まることが多いため、心房細動を有する患者様は脳梗塞発症のリスクが高い(心房細動のない患者様と比較すると5倍)と言われるのです。

理解を助けるために以下のコラムを参照ください。

図3 心房細動の発生機序

心房細動の発生機序の例え話

洞結節から発信された電気信号が心房筋に均等に広がる状態を、大通りでの規則的なパレードとしましょう。その脇道から、テロリスト(異常電気信号と考えてください)が一人、規則的なパレードをしている人達に飛び込んでくるとどうなるでしょう? 当然、パレードをしている人達は立ち止まるのではないでしょうか。しかしながら、係員がそのテロリストを排除すれば、パレードは再開することになります。まさにこれが1発の期外収縮の様なものです。

それでは、テロリストが数人、後から後からパレードをしている人達に飛び込んできたらどうなるでしょう?(異常電気信号が早い間隔で連続的に数発発信される状態と同じです)

そうなると、パレードしている人達はパレードどころではなく、右往左往してしまうのではないでしょうか?このパレードしている人達が右往左往してしまっている状態が心房細動の状態と考えてください。つまり、心房細動は心房の筋肉内で電気信号が右往左往している状態と考えると理解しやすいと思います。

国家公務員共済組合連合会

横須賀共済病院循環器病センター内科

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